2026.6.19

都会派コスパ移住なら広島県―家計の統計が示すその理由

都会派コスパ移住なら広島県―家計の統計が示すその理由

先日、グループ会社クラシノの運営する「クワシーノ」にて、『本当に暮らしやすいのはどの都道府県か?47都道府県「経済的ゆとり」徹底比較―「全国家計構造調査」から』が発表されました。真に経済的なゆとりを持って暮らせるのはいったいどの都道府県なのかに迫ろうとする試みです。総務省が5年に一度実施する「全国家計構造調査」のデータを使用し、可処分所得から食費、住居費、交通費、光熱水道費、教育費を差し引いた「経済的ゆとり額」を各都道府県で算出してランキングにしています。

結果、1位は福井県、2位栃木県、3位茨城県と、北陸や北関東の「多世代同居」型が上位を独占。首都圏では神奈川が12位にランクインしたものの、東京は19位、大阪は35位、福岡は39位にとどまっています(全体のランキングやデータの集計方法など、詳しい内容は是非こちらをご覧ください)。

RASINOで取り扱う求人企業は現在のところ広島県の企業様が多いので、今回は「経済的ゆとり額」では「全国10位」であった広島県に絶賛えこひいきして注目し、そのポテンシャルを解説してみたいと思います。

大都市をもつ16都道府県で比べると、広島は堂々の2位!

どこに住むか?を考えるとき、「ある程度の都市の便利さは欲しい」と思う都会派の方は多いのではないでしょうか?文化施設の充実、公共交通や買い物の利便性、教育や医療など公共サービスも気になります。そこで今回は、政令指定都市を持つ15の道府県と東京の16都道府県に絞って、「経済的ゆとり額」を比較してみました。すると…。

都市型16都道府県の経済的ゆとり額ランキング (1人あたり/月)

都市型全国都道府県経済的ゆとり額
1位5位静岡県127,007円
210広島県120,598
3位12位神奈川県119,635円
4位14位愛知県118,982円
5位16位宮城県118,136円
6位17位千葉県118,019円
7位19位東京都117,622円
8位20位新潟県117,485円
9位24位北海道115,013円
10位30位熊本県112,991円
11位33位岡山県111,179円
12位34位埼玉県110,927円
13位35位大阪府110,642円
14位39位福岡県107,941円
15位41位兵庫県106,684円
16位45位京都府98,111円

都市型16都道府県ランキングでは、広島県はなんと堂々の2位です(静岡県が都市型で1位、全国でも5位というのはいったん見なかったことにしましょう)。経済的ゆとりが大きい都市、広島!

次章で各都道府県の収入を示しているのですが、東京の収入は広島の1.2倍以上あります。にもかかわらず、上記の通り経済的ゆとり額、つまり手元に残るお金は東京(117,622円)と広島(120,598円)で広島がわずかに上回るという結果になっています。大阪や福岡にいたっては1万円も広島が上回ります。

大都会の高収入がそのまま経済的ゆとりになるわけではなさそうです。絶妙なバランスで成り立つ「広島家計経済のゆとり」を一つずつ見ていきましょう。

収入は全国中位

まず収入(家計構造調査のデータでは可処分所得、いわゆる手取り額を意味します)から見てみましょう。広島県の1人あたり収入は月262,926円で、全国21位と、真ん中よりちょっと上であることがわかります。18位の大阪(265,951円)と比べても実は遜色ないのです。

移住先としても人気の福岡(43位、243,098円)と比べたらなんと約2万円も高い。中国地方においては広島がトップです。

この収入を支えているのは、マツダを中心とした自動車産業をはじめ、重工業、半導体などの製造業といえるでしょう。ものづくり日本のど真ん中とも言える、しっかりした経済基盤。それが広島県の強みでしょう。

収入(可処分所得)(1人あたり/月)

都市型全国都道府県金額
1位1位東京都319,562円
2位2位神奈川県298,163円
3位3位千葉県288,288円
 4位福井県287,433円
 5位富山県286,060円
 6位茨城県284,191円
 7位徳島県275,831円
 8位群馬県275,719円
4位9位埼玉県273,359円
5位10位静岡県273,059円
 11位岩手県272,922円
6位12位兵庫県272,132円
7位13位愛知県272,108円
8位14位宮城県270,980円
 15位栃木県270,380円
 16位香川県270,364円
 17位長野県266,207円
9位18位大阪府265,951円
 19位和歌山県263,690円
 20位高知県263,530円
1021広島県262,926
 22位山梨県262,400円
 23位岐阜県261,046円
 24位滋賀県260,593円
 25位奈良県259,532円
 26位石川県258,959円
 27位三重県258,642円
11位28位新潟県258,197円
 29位山形県257,804円
 30位青森県256,926円
 31位鳥取県256,020円
12位32位熊本県253,817円
 33位山口県253,250円
13位34位岡山県252,527円
 35位秋田県252,525円
14位36位京都府251,394円
15位37位北海道250,071円
 38位大分県249,618円
 39位島根県248,509円
 40位福島県246,783円
 41位鹿児島県244,571円
 42位愛媛県243,773円
16位43位福岡県243,098円
 44位佐賀県239,567円
 45位長崎県234,843円
 46位宮崎県232,644円
 47位沖縄県221,762円

広島の食費は全国でも低め

次に支出を見てみましょう。広島県の1人あたり食費は月47,637円で都市型で12位、全国で31位と「低め」の水準です。東京(58,529円)や神奈川(54,687円)など首都圏と比べると月1万円近く安く、大阪(50,730円)や福岡(48,488円)より低い。

自炊と外食を別々に見たとき、外食率の高い都道府県ほど全体の食費も高くなる傾向があるのですが、広島の場合は、どちらにも偏らないバランス型といえます。中心部は公共交通機関も発達しており、飲食店も多くあるため、自炊も外食も両方楽しんでいるのが広島のスタイルなのかもしれません。

食費(1人あたり/月)

都市型全国都道府県食費
1位1位東京都58,529円
2位2位神奈川県54,687円
3位3位千葉県53,726円
4位5位愛知県51,194円
5位6位静岡県50,950円
6位7位宮城県50,752円
7位8位大阪府50,730円
8位9位兵庫県50,616円
9位11位埼玉県50,537円
10位20位福岡県48,488円
11位27位京都府47,785円
1231広島県47,637
13位32位熊本県47,605円
14位33位新潟県47,578円
15位37位北海道46,844円
16位38位岡山県46,487円

広島・福岡の住居費はお安い

広島県の1人あたり住居費は月41,511円で全国34位。つまり47都道府県の中でも下から数えたほうが早い「安さ」です。

東京(85,815円)と比べると広島の住居費はその約半分、大阪(51,352円)と比べても約2割安くなっています。愛知(48,635円)にくらべてもまだ7,000円以上安い。福岡は地価があがっているイメージがありましたが実際は広島とほぼ同水準。「都市に住みつつ住居費を抑えたい」なら広島、福岡あたりが狙い目と言えそうです。

住居費 (1人あたり/月)

都市型全国都道府県住居費
1位1位東京都85,815円
2位2位神奈川県67,049円
3位3位埼玉県61,892円
4位4位千葉県58,358円
5位5位兵庫県55,982円
6位6位大阪府51,352円
7位9位京都府49,587円
8位11位愛知県48,635円
9位12位宮城県46,905円
10位17位岡山県45,415円
11位19位静岡県45,081円
12位25位新潟県43,108円
13位29位熊本県42,432円
14位30位福岡県42,358円
1534広島県41,511
16位46位北海道38,296円

温暖な気候が助ける光熱・水道費

日々の生活の基本なので節約しにくい光熱・水道費の支出も見逃せません。広島県の1人あたり光熱・水道費は月11,975円で全国39位とこちらもかなり低めです。

北海道、東北、北陸の寒冷地などは冬季の暖房費によってコストがかさみます。先ほど住居費では広島より安かった北海道は、光熱費ではなんと都市型で1位に躍り出ます。つまり夏の冷房よりも冬の暖房が重いのが基本と考えてOKです。

広島は温暖な瀬戸内海気候で山間部の一部をのぞいて雪も少なく、光熱費が低く抑えられています。東京(全国38位12,061円)や大阪(全国32位12,373円)と比べても、広島はさらに安く、都市のなかでも光熱費の負担が軽い場所といえます。

光熱水道費 (1人あたり/月)

都市型全国都道府県光熱水道費
1位4位北海道15,021円
2位7位新潟県14,664円
3位15位宮城県13,407円
4位17位千葉県13,247円
5位19位神奈川県13,113円
6位23位静岡県12,847円
7位24位埼玉県12,822円
8位32位大阪府12,373円
9位34位京都府12,307円
10位35位兵庫県12,298円
11位36位岡山県12,269円
12位37位愛知県12,110円
13位38位東京都12,061円
14位39位広島県11,975円
15位41位熊本県11,908円
16位46位福岡県11,261円

車も公共交通も、いいとこ取りの交通費

交通費には「公共交通費」と「自動車維持費」の2つで構成されますが、都市と地方でその内訳がちょうど逆になります。都市は公共交通網がすみずみまで発達しているので車がいらない、地方では公共交通網が限られていて車がないと困る、という関係です。

たとえば東京の場合、公共交通費は月6,706円(全国1位)ですが、自動車維持費はわずか6,550円(全国47位)で合計すると月13,256円で、これは全国41位となります。移住先として人気の福岡(12,116円・全国45位)や大阪(12,623円・全国44位)も交通費トータルでは低くなっています。

逆に交通費トータルが高いのは、山梨(18,983円・全国1位)、山口(18,800円・全国2位)、長野(18,718円・全国3位)といった地方勢になります。つまり交通費トータルでみると、軍配は「車がいらない都会」にあがるわけです。ガソリン代、車検、保険などの自動車維持費は積み上がるとなかなかのコストです。しかもこの交通費には車体費は含まないのでそれを考えると車派の負担はさらに大きくなります。

さて広島はどうでしょうか。公共交通費は月3,208円と16都市型の中では低め、自動車維持費は13,480円とやや高め。合計すると月16,687円で16都市型の中では2位という結果になります。広島の中山間部ではやはり車がないと移動は困難で、多くの方が車を所有していることの表れと思われます。

ただ、広島の中心部は、公共交通機関が非常に発達しています。広島市の中心部を生活拠点にするのであれば車を持たなくても全く不便は感じないでしょう。1人1台ではなく世帯で1台とし、あとは適宜公共交通機関を組み合わせて、という生活スタイルが十分成り立つエリアも沿岸部には多くあります。車を持つ派・持たない派、どちらも選択肢があるのが広島のよさ、ということにしておきましょう。

交通費 (1人あたり/月)

都市型全国都道府県交通費
1位16位宮城県16,937円
2位17位広島県16,687円
3位23位新潟県16,064円
4位24位千葉県15,864円
5位25位岡山県15,854円
6位27位北海道15,651円
7位30位愛知県15,365円
8位32位静岡県15,041円
9位34位兵庫県14,847円
10位35位熊本県14,666円
11位39位埼玉県13,581円
12位41位東京都13,256円
13位42位神奈川県13,070円
14位44位大阪府12,623円
15位45位福岡県12,116円
16位46位京都府11,523円

冷めてもない、熱すぎもしない教育費

子どものいる家庭においては、とても大きな支出となりうる教育費です。そして面白いことに、交通費と違い上位と下位で地域差が非常に大きいのも教育費の特長です。

広島県の子ども1人あたりの教育費は16,355円(全国21位)。これはちょうど全国の真ん中あたりの水準です。この高くもない、低くもない教育費が、実は広島県の「ゆとり」を生む大きな強みになっています。

下の表を見ると、教育費の高い都道府県が経済的ゆとり額ランキングで下位に沈みがちなことがわかります。京都府は教育費3位(33,754円)でゆとり45位、兵庫県は教育費4位(33,517円)でゆとり41位です。教育費が家計のゆとりを圧迫しています。

教育費 (子ども1人あたり/月)

都市型全国都道府県教育費経済的ゆとり額
ランキング
1位2位神奈川県37,724円12位
2位3位京都府33,754円45位
3位4位兵庫県33,517円41位
4位5位東京都33,501円19位
5位6位大阪府32,684円35位
6位7位千葉県28,796円17位
7位9位愛知県24,630円14位
8位14位埼玉県20,512円34位
921広島県16,35510
10位23位新潟県14,893円20位
11位24位岡山県14,070円33位
12位26位福岡県13,669円39位
13位27位静岡県13,649円5位
14位29位宮城県13,096円16位
15位36位熊本県9,551円30位
16位37位北海道9,454円24位

広島(16,355円)は、神奈川、東京、大阪、兵庫と比べても半分以下の水準です。神奈川との差は月21,000円以上で、年間にすると25万円以上も差がつくことになります。

広島は「都市でありながら、教育費が過熱していない」地域と言えそうです。親や子ども本人の考え方で出費が決まる部分でもありますが、家計のゆとりとして手元に残りやすい経済・文化背景があるといえるでしょう。

「あらゆるコストが中位~下位の安定感」が広島の強み

広島の家計構造をあらためてまとめると、その強みの構造もよくわかります。

広島県の家計構造まとめ

費目金額全国順位
収入262,926円21位(中位)
住居費41,511円34位(とくに下位)
食費47,637円31位(下位)
光熱水道費11,975円39位(とくに下位)
交通・自動車費16,687円17位(中位)
教育費16,355円21位(中位)
経済的ゆとり額120,59810位(上位)

収入(月262,926円・全国21位)、交通・自動車費(16,687円・同17位)、教育費(16,355円・同21位)は全国の真ん中あたりの水準です。また、住居費(41,511円・34位)と光熱水道費(11,975円・同39位)はいずれも全国的に見てとくに低い方に入ります。食費(47,637円・同31位)も低めで、目立って高くつく費目がひとつもありません。

収入がソコソコありながら、支出費目のほとんどが中位以下に収まっているため、手元に残る経済的ゆとり額としては月120,598円で全国10位と上位にランクインするというバランス。それでいて一度街に出ればなんでも揃う大都市。都会派でいながらコスパよく暮らしたい人には最適な場所ではないでしょうか!広島県。

ダークホース静岡県

ここで正直者のRASINO編集部は、最初に戻って一度は見なかったことにした「ゆとりランキング」都市型1位、全国5位の静岡から目をそらすのをやめてみます。

静岡県の家計構造まとめ

費目金額全国順位
収入273,059円10位(上位)
住居費45,081円19位(中位)
食費50,950円6位(上位)
光熱水道費12,847円23位(中位)
交通・自動車費15,041円32位(下位)
教育費13,649円27位(中位)
経済的ゆとり額127,0075位(上位)

広島と比べてみたとき、共通点として支出費目が概ね中位か下位でおさまっていることがわかります。食費だけは静岡は全国6位とやや高め。そしてやはり静岡は収入がけっこう上位に位置するのがパンチとして効いていますね。その分外食を楽しんでいるのでしょうか。なかなかしたたかな静岡人ですね…。

いずれにしても、都会派だけどコスパよく暮らしたいあなたは、東日本なら静岡県、西日本なら広島県――そんな選び方もあるかもしれません。あ、ちなみに広島のほうが、自然災害は少ないかもしれません(広島びいきを最後まで頑張る)。

どちらの県にも共通しているのは、「これだけは最高!」という一点突破型ではなく、全体的なバランスで暮らしやすさをつくっているというところです。考え方・生き方は人それぞれですが、様々なコストが全体的に低め、というのは長く住むほどにじわじわ効いてくるものと思います。あなたの広島暮らしの参考になりましたら!

参考:『本当に暮らしやすいのはどの都道府県か?47都道府県「経済的ゆとり」徹底比較―「全国家計構造調査」から』

※政令指定都市を持つ都道府県

2026年6月時点で該当するのは以下の15道府県です。

北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、埼玉県(さいたま市)、千葉県(千葉市)、神奈川県(横浜市・川崎市・相模原市)、新潟県(新潟市)、静岡県(静岡市・浜松市)、愛知県(名古屋市)、京都府(京都市)、大阪府(大阪市・堺市)、兵庫県(神戸市)、岡山県(岡山市)、広島県(広島市)、福岡県(北九州市・福岡市)、熊本県(熊本市)

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